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9/24その2・中澤さんの2回目の撮影@都内の工房

「あれ、前回修復した人が少し良くなかったようですね・・・」

中澤さんの手先の感覚を伝って出てきたこの言葉、実はこういう事だったのです。

自然素材に由来するニカワの接着力は、扱う人の配合次第でいかようにもなります。

前回このガルネリを修復した人のニカワは、かなり強力な配合を施されていたのです。

その背景に、「表板が剥がれない様に・・」という意志が感じられる、と中澤さんは言います。

それ自体間違っているとは言い切れないのですが、「いつの日かまた、このヴァイオリンが修理される事があるかもしれない」という創造力を持てば、「ニカワの強度にも、その日への創造力を働かすものです」と、剥がされたばかりの表板を愛おしむような、中澤さんの視線が印象的でした。

「剥がれにくいけれども、剥がしやすいニカワとは・・」

そこには、木の精霊に問いかるような、そんな言葉が聞こえてくるようでした。

名器と言われるヴァイオリンたちは、誕生から200年、300年、そしてさらにその後も数百年、様々な演奏者と共に音を奏でながら生きていくのです。

一人の人間の一生をはるかに越えたヴァイオリンの一生は、どこか旅に似ているのかもしれません。

その旅をいかに創造し、次の旅へと送り出せるのか?

中澤さんは、その旅のコーディネーターなのかもしれません。

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