Index
HOMEガイアニュース
講演・イベント  | パブリシティ  | お知らせ
●春秋 「私の一冊」


春秋 創刊500号記念特別号  春秋社の本棚「私の一冊」

ダライ・ラマ14世 「ダライ・ラマ 愛と非暴力」



「微笑みの言葉」  龍村仁(映画監督)

ダライ・ラマ法王に出会っている時の人々の表情を法王の側から見ていると、その人の顔は多分、自分でも気付かない内に生涯で一番いい笑顔になっている。
「他者に、瞬時に微笑みを分かち与える力こそ真の仏性なのだなあ」とつくづく思う。
中国政府がチベット人民に加えている激しい人権弾圧の中で、40年以上にも及ぶ苛酷な亡命生活を続けながら、法王はどうしてあの微笑みを絶やさずにいられるのだろうか。
そのことを想うと、法王の語られる言葉のひとつひとつが、俄に重さとリアリティを帯びて私達の胸に迫ってくる。
この本は、1989年のノーベル平和賞受賞の記念講演をはじめ、主にアメリカ各地で行われた講演をまとめたものである。書かれた文章ではなく、聴衆に向かって直接語りかけた言葉であるだけに、平易でわかりやすく、それでいて、法王の仏教者としての境地の奥深さと、21世紀の地球と人間の関係のあるべき姿を見据えた示唆にあふれていて、畏怖の想いが湧き起こってくる。この本を読んでいると、法王を「宗教者の仮面を被った悪魔」と口汚く罵る中国政府高官達の言葉が、いかに偽りに満ちあふれたものであるかがわかり、冷酷な表情でそんなプロパガンダを続ける彼らが、かえって哀れに見えてくる。「人間の究極の本性は慈悲と利他の心である」という法王の言葉は真実である。こんな時代だからこそ、皆さんに是非読んでもらいたい一冊だ。

Back

Copyright Jin Tatsumura office 2000