説明
映画「地球交響曲」にとって音楽は、いわゆる“映画音楽”の役割を遥かに越えた重要なものです。私にとって音楽は、映画表現の先達であり最大の“師匠”だからです。多くの映画監督は、まず映像と言葉(劇映画の場合は台詞)で映画の構造をつくり、それから、それぞれの場面の情感を増幅させるために音楽を作曲したり選曲したりします。音楽はどんな映画にとっても大切なものですが、それはあくまで表現の補助手段です。
これに較べて「地球交響曲」の場合は全く違います。私は「地球交響曲」の撮影段階ではシナリオは一切書きませんし、作品の構造も考えていません。「第七番」の場合もそうでした。80時間の撮影済素材を前にして編集に入る時、初めて映画の構造を模索し始めるのです。撮影した映像と言葉と現場音の音楽的構造化を試みる、と言ってもいい。この「音楽的構造化」にこそ、映画表現の最も豊かな可能性があると私は思っています。
映画「地球交響曲」にとって、音楽は選ぶものではなく出会うものです。出会いはいつも向う側から唐突にやって来ます。いずれにしろ、映像と言葉と音楽は、いずれが主でいずれが従だ、という関係ではありません。この三位一体の出会いに依って、新たな映画的創造が生まれたか否かが重要なのです。
このサントラCDでは、まず音楽そのものを聴いていただき、それからもう一度映画を観て下さる機会があればとても嬉しいです。
龍村仁
◆収録曲
- かみくら/長屋和哉
- トライアンフ/ポール・ウィンター
- 鳥の歌/EPO
- まりまりの子守唄/秦万里子
- ホンキー・トンク・ブルース/ジミー時田とマウンテン・プレイボーイズ
- 浜辺の歌/青木由有子
- 月光[ベートーヴェン]/鈴木慶江
- 花/スーザン・オズボーン
- 感謝/宮下富実夫
- アヴェ・マリア/ボーイズ・エアー・クワイア
- 惑星の夜明け/真砂秀朗
- ピアノ・ソナタ 第15番 ハ長調より アンダンテ[モーツァルト]/ケリー・ヨスト
- ピリカート・ポルカ/石亀協子
- コネヴィスタ修道院の鐘の音/リトゥヴァ・コイスティネン
- オン・マニ・ペメ・フン/イミー・ウーイ 黄慧音
- 光をあびて/吉野大地
Total 59’53”