Index
HOME「地球交響曲」公式ガイド第四番撮影日誌
●樹、そして、洞窟・・・
10月24日

午前7時半起床、台風19号は石垣島付近をしだいに暴風域に巻き込みながら西に向ってゆっくりと進んでいます。だというのにここ本島の読谷村は強烈な“夏”の陽射し激しい雲の流れによって、地上の光も激しく変化しています。今日は彼の作品を自然の中に持ち出して撮る予定。
まず“今帰仁(ナキジン)”の大ガシュマルの樹に向って1時間車を走らせました。
着いたとたん、睦稔が我々の前から姿を消しました。と思ったらなんと地上15mほどの樹の上に姿を現わしました。睦稔は本当に樹登りが好きでじょうずです。
「樹の持つタイムスケールを自分の中で感じられなくなっている私達の時代の不幸」について話してくれた睦稔の言葉を思いだします。睦稔に樹上にとどまってもらったまま、樹の下の複雑に絡んだ根のところに絵を一枚セットしました。とてもスケールの大きな不思議な画面ができました。画面右上に小さく睦稔、中央はほとんどつたの絡み合ったガシュマルの老大樹そして画面左下のところにこれまた小さく彼の作品。



樹のうしろにまわってみるとやはり、精霊をまつる祠がありました。御礼の祈りを捧げているとフト胸が熱くなりました。ここはナキ仁だから、まあ許されるか…。
次に、睦稔がどうしても私を連れてゆきたい、という鍾乳洞にゆきました。龍の洞窟です。



ここだけはみなさんに場所を教えることのできない秘密の聖地。
潮が引いた時だけ海からゆける洞です。海に向って開いた母なる星ガイアの子宮。
何万年もの営みで形づくられたその子宮の内部に何点かの作品を置きました。
「望夜」「響夜」「降臨星夜」…
空海が18才の時、瞑想中に口の中に金星が飛びこんで来たという四国の室戸岬の洞窟を想い出しました。



午後3時、洞窟の撮影を終えて出て来たとたんに大雨、今日の撮影はこれでやめました。
仁と龍の一日でした。

Back

Copyright Jin Tatsumura office 2000