指揮者 “コバケン” こと小林研一郎
「21世紀の今、ベートーヴェンの 『第九』 を振ってコバケン越える指揮者はいない」 という音楽関係者の声をよく聴く。1940年4月、福島県いわき市生まれ。奇しくも私、龍村仁と同年同月生まれである。
私が初めて彼のことを知ったのは1977年、テレビ番組 「地球は音楽だ」 シリーズの撮影でハンガリーの首都ブダペストを訪れた時のことであった。 繁華街をロケハン中、とある楽器店のショーウインドウに、たたみ2畳分もあろうかと思われる彼の巨大なポートレート写真が飾られているのを見て驚天した。クラシック音楽の指揮者がまるでハリウッドの大スターのように扱われているではないか。その頃の私は“コバケン”のことは全く知らず、店の人に尋ねて初めて彼が「日本人」であることを知った。
彼が、1974年の第1回ブダペスト国際指揮者コンクールで第1位となり、ハンガリー文化勲章を贈られた「英雄」である事を知ったのもその時だった。いまも国内外の第一線で活躍を続けておられる。2003年地球交響曲第五番の撮影では、アーヴィン・ラズロ博士が設立された世界賢人会議「ブダペストクラブ」のメンバーに、ダライ・ラマ法
王やジェーン・グドールと並んで「小林研一郎」が加わっていることも知った。
映画「第九番」では、年末恒例の「第九演奏会」を仕上げてゆく彼のプロセスを描きたい、と思っている。