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西川千麗さんの逝去に寄せて

12月に入って、私が心の底から尊敬してきた二人の芸術家(アーティスト)がこの世から旅立たれました。
ラビ・シャンカールと西川千麗さんです。

ラビのことはさておき、千麗さんのことを御存知の方はさほど多くはないでしょう。

映画「地球交響曲」の題字(タイトル)は千麗さんの書です。

と言っても彼女は書家ではなく、六才の時から日本舞踊の修行を重ねてこられた創作舞踊家です。

台本はもちろんのこと、舞台美術、照明、音楽から衣裳まで全てを自分の直感によって選び取り、舞台上に結晶させていた真の意味の“天才”です。

私との出会いは、「地球交響曲」の制作を始める前、シャーリー・マクレーンが自分の前世だと告白した謎の女性「しん女」の痕跡を探す旅の途上でした。一休としん女が晩年を過ごしたという京都、田辺の「酬恩庵」での偶然の邂逅でした。

その御縁で「しん女」が20世紀末に舞台上に甦るまでの御手伝いをしたのです。

詳しいことは拙著「地球(ガイア)のささやき」をお読み下さい。
それにしても千麗さんの旅立ちは美事でした。

早朝一番の「のぞみ」で駆けつけた京都の稽古所にはまだ誰も訪れた人はおらず、余計なものを一切削ぎ落とし、遺されたほんの少しの物によって全宇宙の虚空を顕現させた美しい旅立ちでした。

遺言は宇野千代さんの桜のハンカチに包まれ、細い糸でしっかりと縫い込められていました。

「旅立ちとは、まやかしよー!」

25年前、創作舞踊「しん女」舞台上で千麗さんが発した唯一回の言霊です。

「しん女」の映像は80年代に作った3分CMシリーズ52本の中の一作品として遺っています。

私が気に入っている作品のひとつです。

ありがとう千麗さん、遺言はしっかりと受け止めました。必ず又会いましょう。

2012年 12月25日  龍村 仁

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