【事務所だより】10/23風の色
10月23日は監督のお母様の御命日、
そして今年は、「第八番」でキーになるであろう
気仙沼での大祭ロケの初日でもありました。
台風の影響が懸念される中、撮影スケジュールを確認しながら
何度か 「この日はおふくろの命日だな」と呟いていた監督。
監督のエッセイにはいくつかのお母様との想い出が収録されています。
病院で寝たきり状態になったお母様をお見舞いした時、
「ゆっくりと目を開いた母がじっと私を見つめている。
長い沈黙が続く。私には、その時間が永遠に続くようにさえ感じられる。
ふと母の表情が和らいだ。そして、正確に私の名を呼んだ。その瞬間、私は、
自分自身のからだが、一気に桜吹雪になって散ってゆくような気がした。
動かなくなったからだ、 混濁する意識、そんな中でも母は私に何かを教えようとしている。
生命とは何かを教えようとしている。」
そして新宿御苑内での桜吹雪とお母様のエピソード。
「母が私をふり返った。母は微笑んでいた。
若い頃にも、入院生活にも見たことのない微笑みだった。
『歌ができたよ』 母は嬉しそうに笑った。
ゆったりと想い出のままに楽しみて
桜吹雪の中を行くなり
まるでひとり言のように二度ほどつぶやいてから、
母は再び白さの中に還って行った。」
~風の色’93~ 「地球(ガイア)のささやき」より
今、監督のデスク真正面には桜吹雪の中のお母様と歌をモチーフにした
睦稔さん版画が監督を見守っています。
「風の色 2010」
2010年、龍村仁監督の古希(70歳)のお祝いの時に、
地球交響曲20年の歩みを少しだけ振り返った映像作品です。
「母なる星地球」という意味を深く感じさせてくれる小作です。