クレモナにてヴァイオリン博物館
極寒の中からやって来たクレモナの街。
さすがに雪は目にしないものの、息は白く、肌に痛みが走っている。
クレモナと言えば弦楽器。街の至る所に職人の工房があり、振り向けば職人同士が会話をしている。友達同士の予定もみんな知っている。
今年、新しくオープンになったヴァイオリン博物館は、僕もまだ足を踏み入れたことがなかった。以前は美術館の中にこじんまりとあったストラディバリ博物館と、市庁舎にストラディバリのコレクションがあった。オープンしたてということもあり、建物はとてもきれいでコレクションの数も多く、かなり気合いが入っている様子がうかがえた。
ガイアの撮影で中澤さんが修復する様子を追っていた、グァルネリのヴァイオリンが、今回このヴァイオリン博物館の中の、ヴァイオリン黎明期の製作者たちのコレクションのコーナーに加わることになり、博物館の方々に手渡すシーンの撮影がありました。
一般のお客さんはいなかったものの、展示用のガラスケースに入ったバイオリンを撮影したりするシーンも多く、ガラスに反射して自分がカメラのフレームに入らないように、それでいて撮影の補助をしなくてはならない。ジタバタアタフタしていた。
博物館の係の人から情報を仕入れていると、コンクールで優勝したクレモナの職人の楽器も展示さているようで、僕が個人で撮影していたマエストロの楽器も展示されているという。これは見ておかないと、と思うのも束の間。そんな余裕すらないままに撮影隊は突き進む。
職人さんにとって弦楽器以外に興味を示すことのない、小さく素朴でシンプルな街ではあるが、こと弦楽器といえば世界にその名を轟かす街だけに、その博物館のコレクションに、修復した楽器を納める中澤さんの腕というのは一体どれだけのものなのだろうか。