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【事務所だより】第八番のキーワード

第八番のキーワードは「畏れと美と智恵と勇気と」、

「畏れ」という言葉は辞書によると 

「敬(うやま)い、かしこまる気持ち。

畏怖(いふ)・畏敬(いけい)の念。『神の偉大さに―をいだく』」 

とあります。 

監督は英訳に “Fear” という言葉を選びましたが、それに関して 

ガイアファンの方から数件の同じ内容のメールを頂きました。 

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「畏れ」の英訳は ”Fear” でいいのでしょうか? 

Fearは怖れや恐れの意味を持っていると思います。 

敬いを持つ畏れという意味でしたら 

Fearではなく、Aweなどの他の言葉の方がよいのではないでしょうか。 

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皆さん、丁寧に、少し恐縮しながらのお問合せです。 

監督が書いたお返事です。 

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星野道夫が「恐れを失ったとき滅びる」という事を語っており、 

そのとき Fear という単語を使っております。 

それは、星野は Fear と Awe の違いを知らなかったのではなく、  

敢えて Fear, すなわち恐れおののくという意味の言葉を使い、 

その中に畏れおののく感覚を込めて使ったのです。 

すなわち、御指摘のような疑問が出てくることを 

星野は望んでいたから Fear を使ったのです。 

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今回、キーワード英訳時に “Fear” を選んだ理由を 

監督は特に言っていませんでしたので、

ファンの方からのご質問がなければ 

ここに込められた星野さんへの想いを聞く事はなかったかもしれません。 

 

~ アラスカの自然を旅していると、たとえ出会わなくても、 

いつもどこかにクマの存在を意識する。

今の世の中でそれはなんと贅沢なことなのだろう。 

クマの存在が、人間が忘れている生物としての緊張感を 

呼び起こしてくれるからだ。 

もしこの土地からクマの姿が消え、野営の夜、 

何も恐れずに眠ることができたなら、 

それはなんとつまらぬ自然なのだろう。 ~ 

( 星野道夫著:旅をする木 より ) 

このような星野さんの言葉と Fear のつながりに触れた折り、

監督の話しは東日本大震災の津波、

どのように自然との脅威と関わっていくべきなのか、という事や

石垣昭子さん(第五番)の事にも広がりました。 

石垣さんの「生きている生命(芭蕉、蚕)から糸を紡ぎ出し、 

生きている生命(福木、藍、紅露)に秘められた色を誘い出す」という、

自然との性急でない、「待つ」関わり。 

Fear, 人間が持つ本能的な「恐れ」の感情、

それが敬いを秘めた「畏れ」へと転化していく、 

その過程にある祈りのような気持ち、

そこに何か人間と自然との関わりの本質があるのではないか・・、 

”Fear, Beauty, Wisdom、Brave“、「畏れと美と智恵と勇気と」、 

短いキーワードですが、そこに監督の想い、

祈りもこめられているのでしょう。 

( 制作デスク:石亀 )