第八番 制作日誌

2013年10月

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【撮影日誌】10/29「サントリーホール」で

10/29「サントリーホール」で
10月29日、またしてもガイアのシンクロニシティーがなし得るコラボレーションが起こりました。
開演の時を待つまだ誰もいないサントリーホールの舞台で、その音は静かに奏でられました。
完成したばかりの中澤さんの津波チェロを、ちょうど来日公演中のヨーヨー・マさんが手にとったのです。
これが津波チェロにとっての、まさにファーストサウンドになりました。
この時まで、誰がこんな事を予期したでしょう?
出会うべくして出会ったコラボレーションなのかも知れません。
この日はちょうど公演最終日、
最後のアンコール曲は、急遽ヨーヨー・マさんの希望でこの津波チェロで奏でられました。

パブロ・カザルスの「鳥の歌」

この演奏に込められたシンクロ二シティーの音色は、これからも多くの人の心に響いていく事でしょう。
(津波ヴァイオリンに関してはコチラ

※番 外
予期せぬ事が起こってしまったこの日、赤平カメラマンは大阪で撮影をしていました。ダメ元で電話をした所、なんとすぐに新幹線に飛び乗り、アンコール直前にサントリーホールまで駆けつけてくれました!
わずか5分ほどの撮影でしたが、「鳥の歌」に込められた何かが、ガイア8番の中にも新たな生命を吹き込んでいく様でした。

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【撮影日誌】9/26室根の森・その2

9/26室根の森・その2
森に轟音を響かせ樹齢100年を超える杉の木が、大地に倒れていきました。
ここは、気仙沼に程近い森の中です。
この木は、震災による津波で流された畠山さんの木製の和船を復活させるための材料となるものです。
親の代から譲り受けてきたこの和船は、畠山さんにとって幼少の頃から海と自分の距離を、より身近に感じさせてくれるものでした。
なぜなら、船に使われている様々な木の材質やその所以、そして手こぎの櫓の使い方など、自分にとってまだ見ぬ未知のページを、その後の叡智の詰まったページに導いていってくれた大切な先生だったのです。
(詳しくは畠山さんの著書を手にとってみて下さい)
その手漕ぎの和船の復活を、8番の中で追っていく事になりました。
まだまだ道のりは長いのですが、これから船大工さんの手に渡り、さらにどんな展開が待っているのか?
宝箱を開いていく様なワクワクドキドキする予感が、秋の訪れを迎えた森には漂っていました。

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【撮影日誌】9/25室根の森・その1

9/25室根の森・その1
夜遅くまで続いた中澤さんとガルネリの対話を垣間みさせて頂いたその翌日、
撮影隊の姿は、岩手県の室根山の頂き近くに鎮座する室根神社にありました。
この神社の由来は、きっと8番の中で重要なキーポイントになってくと思われますが、今は伏せておきます。 この撮影の1ヶ月後の10月末、4年に一度の室根神社大祭も撮影させて頂く予定なのでが、そこでこの謎は少しずつ明かされていくことでしょう。

で、今回はこの地に湧き出る水を撮影させて頂きました。
この水は、室根山に貯えられた豊かな雪解け水がしみ出るように、ひそやかに湧いていました。
その一滴一滴が一筋の流れを作り、山肌を伝い、小川となり、やがて大川となって気仙沼に流れ込んでいるのです。
そこには、真水と海水が交わる場所、いわゆる「汽水域」が姿を現していました。
汽水域には多くの生き物たちが生命を宿し、人間にとっても豊かな漁場を授けてくれます。気仙沼とは、元来そういう場所だったのです。
25年前、畠山さんの呼びかけで発足したNPO法人「森は海の恋人」も、この水の流れを象徴するような活動を繰り広げています。
室根山と畠山さんの住む気仙沼を結ぶ一筋の流れ、それに室根神社のそもそもの由来、
8番ではそれらがスパイラルを描きながら、我々が見る事のできる世界にたち現れてくる、そんな予感を感じさせる撮影が続いています。

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【撮影日誌】9/24その2・中澤さんの2回目の撮影@都内の工房

9/24その2・中澤さんの2回目の撮影@都内の工房
「あれ、前回修復した人が少し良くなかったようですね・・・」
中澤さんの手先の感覚を伝って出てきたこの言葉、実はこういう事だったのです。
自然素材に由来するニカワの接着力は、扱う人の配合次第でいかようにもなります。
前回このガルネリを修復した人のニカワは、かなり強力な配合を施されていたのです。
その背景に、「表板が剥がれない様に・・」という意志が感じられる、と中澤さんは言います。
それ自体間違っているとは言い切れないのですが、「いつの日かまた、このヴァイオリンが修理される事があるかもしれない」という創造力を持てば、「ニカワの強度にも、その日への創造力を働かすものです」と、剥がされたばかりの表板を愛おしむような、中澤さんの視線が印象的でした。
「剥がれにくいけれども、剥がしやすいニカワとは・・」
そこには、木の精霊に問いかるような、そんな言葉が聞こえてくるようでした。
名器と言われるヴァイオリンたちは、誕生から200年、300年、そしてさらにその後も数百年、様々な演奏者と共に音を奏でながら生きていくのです。
一人の人間の一生をはるかに越えたヴァイオリンの一生は、どこか旅に似ているのかもしれません。
その旅をいかに創造し、次の旅へと送り出せるのか?
中澤さんは、その旅のコーディネーターなのかもしれません。

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【事務所だより】グレッグ・レモンからのメッセージ

【事務所だより】
ガイアの撮影にはつきものとはいえ、今回は更に大きな試練と
不思議なシンクロニシティのつづれ織りで進む八番撮影、
そんな渦中の監督に第七番出演者のグレッグ・レモンからメッセージが届きました。 

Jin,
you are such a great person, anything you want to do, you can do.
Thank you for the last time we’re in Japan.
   Greg Lemond

「Jin、なんて素晴らしい人なんだ、あなたが望むことはなんでもできる、
前回、来日した時の事は感謝してるよ」

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実は、親日家でもあるグレッグは10月初めに開催された復興支援レース、
「ツール・ド・三陸」参加の為に来日していました。

以下、関連記事です。
グレッグ・レモンが走った!「ありがとう!」被災地に響く声援 産経新聞記者が体験した「ツール・ド・三陸」

800人が被災地を疾走 岩手県沿岸部で 「ツール・ド・三陸」開催

命を落としかけた散弾銃事故から文字通り復活した自らの体験があるからこそ言えるのであろう、被災地と監督への力強いエールです。

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【撮影日誌】9/24その1・中澤さんの2回目の撮影@都内の工房

9/24中澤さんの2回目の撮影@都内の工房
9月24日、中澤さんの2回目の撮影が都内の工房で行われました。
今回は、ストラディヴァリウスと肩を並べる名器、ガルネリの修復作業の撮影です。およそ280年前に制作されたものだそうです。
ふだん中澤さん、皆が寝静まった頃、静寂に包まれた中たった一人で作業をするそうです。
作業は、まず表板を剥がす所から始まります。
自ずと緊迫した空気がはりつめ、しばらくすると、ギィ、ギィと少しずつ少しずつ慎重に剥がされていく音がこだましてきました。
その音は、天河神社での神事の際、御扉が開かれる時に聞こえてくる音にどこか通じるものを感じさせるものでした。
その最中、中澤さんがポツリと言葉を発しました。
「あれ、前回修復した人が少し良くなかったようですね・・・」
ニカワで接着されているこの部分だけを見て、そう言ったのです。
その意味とは・・・
(つづく)
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【事務所便り】監督近況:9月秋晴れの朝

【事務所便り】
人間は自分のからだの内側に無限の宇宙を持っている。
その宇宙が外に向かって開かれてさえいれば、
どこにいても自然を楽しむことができる。
自転車的コーヒーブレイクは、その扉を開くための、ささやかなひとときなのだ。

~自転車的コーヒーブレイク~ 「地球のささやき」より
このエッセイを書いた時とは事務所が赤坂から新宿に変わりましたが、
監督のお気に入りの朝のスタート、
ゆっくりコーヒーを飲みながら原稿を書いたり撮影への想いをめぐらす時間、
「自転車的コーヒーブレイク~新宿篇~」は健在のようです。

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【監督雑感】9/16台風18号が関東直撃した日の朝に

監督雑感

今朝、人影の一切無い神宮外苑で嵐に堂々と耐える楠の大樹に会いました。
力を与えられた気がします。

(台風18号が関東直撃した日の朝に)

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【撮影日誌】8/31中澤宗幸さんの初めての撮影@妙高高原

8/31中澤宗幸さんの初めての撮影@妙高高原

8月31日、中澤宗幸さんの初めての撮影が新潟県の妙高高原で行われました。
初回という事もあり、中澤さんには子どもの頃のお話を伺いました。
兵庫県の山間部で過ごした思い出やお父様の事など、中澤さんが受け継がれてきたDNAが感じられる大変興味深いものでした。
さらにこの時は、子供たちのヴァイオリン製作教室でした。
ちょうどヴァイオリンの魂とも言える「魂柱」の取り付け作業の時で、中澤さんの口からはごく自然に珠玉の言葉が子供たちに語られていました。
このシーンは、きっと映画でもご覧頂ける事でしょう!

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【撮影日誌】9/4~7巨樹の撮影@紀伊半島

9/4~7巨樹の撮影@紀伊半島

去る9月4日から7日にかけて、ガイア8番の撮影が紀伊半島を横断して行われました
台風17号の余波で、初日は大雨の中で行われました。
「ガイアの撮影には嵐はつきもの」と監督はいつも言っていますが、まさにその通りになりました。
何故なら今回の撮影は、8番のキービジュアルになるであろう巨樹との対峙だったからです。撮影隊も、いかに巨樹に潜む精霊の声を聴くことが出来るか、そしてその声をカメラに収めることが出来るか?という事が試されます。
まずは禊ぎの雨で、清められた感じでした。

その後天河神社に移動し、スーパー能「世阿弥」の奉納を撮影させて頂きました。
実は、そこからがまた大変。
同日の午後に、奈良斑鳩で東日本大震災復興チャリティーコンサートを撮影するため、すぐに大移動です。 このコンサートは、中澤宗幸さんの奥様きみ子さんが、津波ヴァイオリンとストラディヴァリウスの両方の音色を奏でるものです。
こんなチャンスは、なかなかありません。
津波ヴァイオリンが奏でるなつかしい日本の心の風景と、ストラドの幾重にも重ねて来た年輪の厚みが盛況の会場を包み込んでいました。
今後まだまだ続く中澤さんの撮影を象徴しているかの様な、奥深いものに感じられました。

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